2026年10月25日
ドラキュラの歯はなぜ尖っている?八重歯になる原因と犬歯の大切な役割
こんにちは。江東区北砂の「北砂こもれび歯科」です。
もうすぐハロウィンですね!🎃
ハロウィンといえば、魔女やおばけ、そしてドラキュラ。
ドラキュラの特徴といえば、口元からのぞく長く尖った歯ですよね。
では、なぜドラキュラの歯は尖っているのでしょうか?
それは、ドラキュラが人間の血を吸う「吸血鬼」として描かれているからです。
吸血鬼の尖った牙は、相手の皮膚に噛みつき、血を吸うためのものとして表現されています。
実は、私たち人間にも、ドラキュラの牙を連想させる尖った歯があります。
それが「犬歯(けんし)」です。
もちろん、人間の犬歯は血を吸うためのものではありません。
食べ物を引き裂く役割に加え、噛み合わせにおいても大切な働きをしています。
今回は、そんな犬歯が歯並びから飛び出した「八重歯」について、その原因や噛み合わせとの関係を解説します。
① 八重歯はなぜできるのでしょうか?
八重歯とは、一般的に犬歯が歯列から外側に飛び出したり、高い位置に生えたりしている状態を指します。
上顎の犬歯が歯列より唇側の高い位置にずれている状態は、歯科では「低位唇側転位(ていいしんそくてんい)」と呼ばれることがあります。
八重歯になる主な原因の一つは、歯が並ぶためのスペースが不足することです。
上顎の永久犬歯は、一般的に11〜12歳頃に生えてきます。比較的遅く生えるため、隣の歯が先に並び、犬歯のスペースが不足してしまうことがあります。
また、顎と歯の大きさのバランス、歯の萌出方向、遺伝的な要因なども関係します。
つまり、八重歯は顎の成長や歯の位置など、さまざまな要因が重なって起こるのです。
② 犬歯はなぜ尖っているの?
犬歯は、前歯から数えて3番目に位置する歯です。
食べ物を引き裂く役割を持つほか、噛み合わせにおいても重要な働きを担っています。
犬歯は比較的長い歯根を持ち、歯列の角に位置していることから、顎の動きを誘導する役割に適した形態をしています。
では、犬歯はどのように奥歯を守っているのでしょうか?
③ 犬歯は奥歯を守ってくれる大切な歯!
歯科には「カスピッドプロテクテッドオクルージョン(Cuspid-protected occlusion)」という言葉があります。
難しそうな名前ですが、意味を分解すると意外と簡単です。
・Cuspid(カスピッド) = 犬歯
・Protected(プロテクテッド) = 守られた
・Occlusion(オクルージョン) = 噛み合わせ・咬合
つまり、「犬歯によって守られる噛み合わせ」 という意味です。
私たちは食事をするとき、上下に噛むだけでなく、下顎を左右にも動かしています。
このとき、上下の犬歯が接触しながら下顎の動きを誘導し、奥歯が離れることがあります。
これを「犬歯誘導(Canine guidance)」と呼びます。
奥歯は食べ物をすりつぶすために大きな力を受け止める歯ですが、横方向の力については負担のかかり方に注意が必要です。
犬歯誘導によって奥歯が離れることで、横方向の接触を減らすことができます。
つまり犬歯は、ただ尖っているだけではなく、顎の動きを誘導し、奥歯を横方向の接触から守る役割を持つ大切な歯なのです。
ただし、犬歯と奥歯が一緒に接触する「グループファンクション」も生理的な噛み合わせの一つであり、犬歯誘導だけが唯一の正解というわけではありません。
ちなみに私は歯軋りがすごく犬歯がすり減りグループファンクションです。笑
④ 八重歯になると犬歯の役割は失われる?
では、そんな大切な犬歯が八重歯になってしまったら、どうなるのでしょうか?
八重歯の位置によっては、上下の犬歯がうまく接触せず、犬歯誘導が十分に働かない場合があります。
その結果、下顎を横に動かしたときに奥歯が接触するなど、噛み合わせの状態が変わることがあります。
また、犬歯誘導がないことだけを理由に、歯ぎしりや顎関節症が起こると断定することはできません。
実際の診療では、歯並びの見た目だけでなく、歯の接触状態や摩耗、歯周組織、顎の動きなどを総合的に確認する必要があります。
⑤ 八重歯は矯正したほうがいいの?
日本では、八重歯をチャームポイントとして捉えることもあります。
もちろん、八重歯だからといって必ず矯正治療が必要というわけではありません。ただし、矯正はおすすめします。
なぜなら、咬合様式の観点から言っても良い噛み合わせではないからです。
それに、歯が重なっている部分は歯ブラシやデンタルフロスが届きにくく、プラークが残りやすいことがあります。
その結果、虫歯や歯肉炎のリスクが高まる場合があります。
また、歯の位置によっては、噛み合わせや歯茎への影響も考慮する必要があります。
特に成長期のお子さんでは、永久犬歯が適切な位置に生えてくるかを確認することが大切です。
犬歯の萌出位置に異常が疑われる場合、早期に発見することで、将来の治療の選択肢が広がることがあります。
⑥ 歯並びは見た目だけでなく、機能も大切です
北砂こもれび歯科では、歯並びを考える際、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや清掃のしやすさ、将来の歯の健康も大切にしています。
歯にはそれぞれ異なる形があり、その形に応じた役割があります。
犬歯もその一つです。
八重歯が気になる方、お子さんの犬歯がなかなか生えてこない方、噛み合わせについて気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
今年のハロウィンは、ドラキュラの尖った歯を見ながら、ぜひご自身の「犬歯」にも注目してみてくださいね!🎃
監修:北砂こもれび歯科 歯科医師 森田 泰央
